
医療統計学:収集された標本の記述
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収集された標本の記述
ひとたび標本が収集されたならば、その中の個体一つ一つをいかに取り扱えばよいのでしょうか。
こと統計学に関するかぎりは、少なくとも当面興味のあるそれらの個体に共通した特性を、“数字の集合”を用いて表現することとなります。
その一例としては、既婚者、独身者、未亡人、そして離婚経験者の割合といったものがあげられます。
また、ときにはこれらの人々の年齢や収入を表すこともあります。
人間を対象にした標本の場合、極端なヒューマニストは「人間を数字に置き換えている」といって憤るかもしれません。
事実、その標本には、このように数字で把握できる以上のものが含まれていることを忘れてはなりません。
この点は、単に倫理上の問題としてのみならず、統計学的にも注意すべきことです。それは、私たちがいかに結果を解釈するかに大きな影響を与えるからです。
標本は個体によって構成されています。
ある標本をとった場合、そこでの個体とは人間をさすこともあれば、牙をもった動物のこともあり、あるいは電球や一年の各月、じゃがいも畑などさまざまです。
その標本の個体はすべて、当面興味の対象となっている何らかの属性、あるいは特性を共通してもっています。
たとえば、色、性別、重さ、価格、耐久性といったようなものです。
その標本の個体はこれらの特性についてみれば、「それぞれさまざまな色をしている」、「男性もいれば女性もいる」、「軽いものもあれば重たいものもある」、といった具合に異なっています。
結局、標本の中の個体を見て、こういったいくつかの特性についてそれらがどのように異なるかが問題となります。
個体間における変動のゆえに、このような特性は変量特性、あるいは単に変量を呼ばれています。
それゆえ、統計学における変量とは、それにより各個体を区別することができるような任意の属性、あるいは特性のことであるともいえます。
たとえば、いまあなたが中古の自動車を買うことを考えているとしましょう。
そのとき、中古車店に売られているさまざまな自動車の違いを表す変量をいくつかあげることができるでしょうか。
以下に、私ならば興味をもつ変量をいくつかあげてみました。その中には、あなたの思いついたものもいくつか含まれているでしょう。
自動車のブランド(たとえば、トヨタ、日産、ホンダ、三菱、マツダ、・・・など)
自動車のタイプ(たとえば、セダン、RV車、スポーツカーなど)
色
製造されてからの年月
状態(よい、普通、悪い)
価格
排気量
座席の数
これらの特性のいずれを見ても、どの自動車も少なくとも一つは他と異なっているでしょう。
それゆえ、これらは変量特性といえます(かといって、タイヤの数は変量ではありません。なぜなら、タイヤの数が4つではないような乗用車が売りに出されることは、まずありえないからです。そこでは、変動は排除されています)。
さて問題は、私たちの手元にある標本の中の各個体をこれらの変量によっていかに評価すべきかということです。
これは、変量のタイプに依存します。
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