医療統計学:実臨床における問題

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医療統計学:実臨床における問題

 

                    医療統計学、医療経済学、数学のつぼをたとえ話でわかりやすく解説

 

                    運営者の20年以上にわたる医療統計学のノウハウを満載

 

医療統計学の問題は医療現場に山積している

 

そもそも私は、1988年の大学3年生当時までは統計学には全く興味がありませんでした。

 

大学で統計学の講義はありましたが、難しい数式ばかりを説明する授業の後ろの席で、居眠りをしている学生でした。

 

そして大学4年生になって研究室に配属になり、研究テーマを決め実験を行い得られたデータを整理して卒業論文を書く段になって、必要に迫られて統計学を勉強したのがきっかけです。

 

脳機能の研究室だったのですが、学習記憶の動物実験でデータをまとめるのに必要な統計学として、関数電卓を使って平均値や標準偏差を求めました。

 

そして民間の研究所・製薬企業の職員になってからもしばらくはそうした実験→データ解析→報告書、というプロセスを継続して進めてきて、たくさんの論文を書き、その過程で様々の実験計画の立案法、統計学的手法、データ解析手法を学び培ってきました。

 

そして同じ会社の研究員の方の多くが統計・データ解析が苦手だったため、私に講義をして欲しいという高いニーズがあり、そこから教育プログラムを立案し毎週講義を行ってきたわけです。

 

さらに彼らは、今手持ちの悩んでいる統計・データ解析の問題について指導・サポートして欲しいと頼みました。

 

そしてついに実験の現場からも離れ、統計解析のコンサルティングの専任としてその仕事に従事することとなりました。

 

かくしてコンサルタントを5年続け、非臨床創薬研究における統計・データ解析において問題が山積していることを思い知らされました。

 

多くの研究者は統計学に関する基礎知識が不足しており、自己流で統計解析を行っていました。

 

たとえば連続変数であるにもかかわらず、ウィルコキソンの順位和検定を使ったりしていました。

 

何より問題なのは、非臨床創薬研究の領域で、お手本となるような統計解析の教科書が世の中に1冊もないことでした。

 

私はありとあらゆる統計学の教科書を読み漁り、この問題にどう対処すればよいか考えました。

 

実験計画法の勉強が必要だと思い、専門の先生を研究所に招待し指導をお願いしたこともありました。

 

勉強会はほぼ毎週開催し、考え方だけでなく役に立つスキルも含めふんだんにレクチャーしてまいりました。

 

そして2007年に研究所が閉鎖になり、動物実験からも離れて非臨床から臨床の業務に移ることになりました。

 

私の顧客は研究所の所員から医療従事者(主に医師)へと移りました。私はデータのまとめ方に関する問い合わせを医師から数多く受けるようになりました。

 

問い合わせを受けたのは、必ずしも影響力のある大学病院の先生ではなく、むしろ診療所を経営する医師からの問い合わせの方が多かったです。

 

実際に話してみて、またデータを見せて頂くと、大変貴重なエビデンスを豊富に所有していて、学会発表したいのだけれどもデータのまとめ方がわからない、実臨床で忙しすぎてデータをまとめる暇がない、というのです。

 

私は非臨床だけでなく臨床の現場においても、医療統計学に関する諸問題が山積していることを改めて思い知らされました。

 

多くの病院・診療所には使われずに眠っているデータが膨大にあり放置されているという現状があります。

 

これらのデータの宝の山をそのまま眠らせてはいけない、それらを有効活用することこそ今日直面している医療の諸問題を解決する第一歩である、と思いました。

 

私の場合、元々統計学の専門家ではありません。数学や統計学が特別に他人より秀でていたわけでもありません。

 

しかし、製薬会社に勤務する私を含め医薬品・医療機器を扱う企業人は、医療従事者に対して質の良い医療サービスを提供し、彼らが困っていたらサポートしなければいけないという責務を負っています。

 

医療従事者が抱えている問題を出来る限り叶える、そしてそれは最終的には患者への奉仕に還元されなければならないわけです。医療統計学の教育もその一環として必要であると考えたから行っているにすぎず、その基本姿勢は現在でも変わりません。

 

もしそれが医療統計学ではなく薬物動態学であれば私はそちらの教育に注力していたでしょう。たまたま医療統計学の方が高いニーズがあったという、ただそれだけです。

 

私はこれまで多くの医療従事者のニーズに答えようと様々な医療統計学上の問題を解決してきましたし、今でも解決して欲しいというニーズはありますし、私自身今後も解決に向けて邁進していきたいと思っています。

 

ただ、その解決方法は、必ずしも私が個別に診療所を訪問して解決するに限ったことではありません。

 

私自身時間が限られているということもありますが、最近とくに製薬企業人の医療従事者への過度の関与は利益相反(簡単に言うと、自社製品の売り上げ向上につながるようなデータを医療従事者にとってもらう行為)にも関わる問題なので、慎重に行わなくてはなりません。

 

自ら訪問しなくても、サイトを運営し情報提供する方法もありますし、書籍を通じて医療従事者に勉強する機会を提供するという方法もあります。

 

ではなぜ非臨床・臨床研究の領域において、なぜこれほど医療統計学の教育・テコ入れする必要があるのでしょうか。その背景としては、医療統計学・統計学という学問自体がわかりにくいことが考えられます。

 

 

 

 

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