医療統計学をわかりやすく解説

個々人からなるサンプルを確定したら，一人ひとりについてのデータをほぼ同じ時点で得ることができます。

研究対象のサンプルは一般母集団から得られることもあれば，きわめて特殊であることもあります。

たとえば，サーベイは，一般母集団における血清コレステロールの水準を確定するためにも実施できますし、.妊娠中の女性や理学療法士，65歳から90歳までの年齢の人といった特定グループの研究にも用いることができます。

サーベイは.消火器やストレッチャーといった命のない物体に対してさえ，行なうことができます。

サーベイは，原則として，関心対象のグループのメンバーの完全なリストを得ることから始まります。

次いで.このリストから，個々人のサンプルを，その後の研究のために選択します。

この選択は（手当たりしだいでなく）ランダム（無作為）に実施するため、各個人は選ばれる機会を等しくもちます。

実際には，グループのメンバーの完全なリストは入手不可能なこともあるので.その際は考えうる限りの代替策を用いることもあります。

とはいえ，全体のプロセスとしては，ただ一つの目的?代表的なサンプルを得るためにランダムサンプリングを用いる?を達成すべきです。

そして抽出された個人の現状についてデータを収集します。

ほとんどのサーベイには、統制群あるいは比較群がありません。

よって，統制群や比較群を含む研究は，通常はサーベイではありません。

ただし，サーベイの分析において，サンプルの一部のサブグループを，他のサブグループと比較することはありうることです。

たとえば，男性対女性あるいは老人対若者とい う比較。これは，比較ではあるが，一方のグループが他方のグループに対する統制群であるという意味ではありません。

対象者は同じ時点で選択されてサンプルとなり，そのサンプル内で比較がなされます。

サーベイという用語が用いられていれば，そ の研究はサーベイであるはずです。

しかし、実際にはコホート研究であるのに，サーベイという用語が誤って使われてい ることもあります。

横断的という用語は，他の研究方法ではほとんど使われていないため，サーベイを見分けるのに役立ちます。

サンプルやランダムサ ンプルという言葉は，他の研究デザインの記述においても頻繁に見られるため，サーベイを見分けるための参考にはなりません。

サンプリングには.層化、クラスタリング、系統化といった用語で表わされるさまざまな方法があります。

これらの用語は，臨床試験で使用されることのある「層化」という用語を除いて，他の研究方法ではほとんど使われていないので，サーベイを見分けるのに役立ちます。