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医療統計学的論文の読み方:バイアスと交絡

 

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医療統計学的論文の読み方:バイアスと交絡

 


バイアスは、研究の悩みの種です。

 

バイアスとは,得られた結果が,バイアスがない場合に得られるはずだった結果と系統的に異なることを意味します。

 

バイアスはさまざまな装いで生じうるが,その影響はつねに同じです。

 

つまり,バイアスがあれば,観察された結果は誤解を導くものとなり,得られた結論は誤ったものとなります。

 

バイアスは、研究の対象者を選びだすときに生じることがあります。

 

研究を注意深く実施したときでさえ、研究の対象者が一般的な患者と異なっているというのは考えられることです。

 

重症で寝たきりになった対象者ほど容易に連絡をとれるので,研究に加えられてしまうということもあるでしょう。

 

逆に,重症の対象者ほど専門病院での治療を受けているため自宅を離れているので,研究から除外されてしまうということもあるでしょう。

 

また,研究対象者からインフォームド.コンセントを得ることが必要であるために、バイアスが生じることもあります。

 

協力を拒む人は,協力に同意する人とは異なっているかもしれません。

 

態度や信念を関心対象とする研究にとって、インフォームド.コンセントの問題は特に重大です。

 

というのは.態度や信念は.まさに研究への協力に影響を与える特性だからです。

 

バイアスはデータを収集するときにも生じることがあります。

 

測定道具の目盛りが誤っていると,一貫して高い値あ るいは低い値を与えてしまいます。

 

患者への質問方法は,その 回答に影響を与えることがあります。

 

共感的な面接者は,患者に,自身の経験を完全に述べさせることができますが,その次の面接を他人の気に触るような面接者が行なうと,少ししか情報を収集できないため,患者の状態に変化があったという誤った結論を導いてしまうことがあります。

 

誤りを招くようなデータは患者が過去のできごとを想起しなければいけないときにも収集されることがあります。

 

想起は,病気となった理由について説明を見出す必要性といった,多くの要因によって影響を受けます。

 

過去のできごとについての研究は、そのできごとが実際に生じたか否かよりも,想起に影響を与える要因に.より大きな影響を受けることがあります。

 

研究にバイアスがかかっているかどうかを判断するのは簡単ではなく、そのためには,研究方法を注意深く検討する必要があります。

 

用いられた研究方法を確認したら,次には「どういう間違いがありうるか」と問うべきです。

 

バイアスが存在するものと仮定し,疑いの目をもって検討することが,バイアスを特定するのに役立ちます。

 

交絡は.2変数間で観察された関係の一部が.第三の変数の働きによるものであるときに生じます。

 

たとえば,アルコールの消費が肺がんと関係しているとしても,アルコー ルの消費が肺がんの原因というわけではありません。

 

そうではなく,喫煙がアルコールの消費と肺がんの両方に関係していて,喫煙が肺がんの原因なのです。

 

交絡は,人の健康と行動の側面の多くが互いに関係しあっているために生じます。

 

たとえば,年齢が高くなると血圧も高くなりがちですし、.新聞を読むために眼鏡が必要になることは多いです。

 

だからといって.高血圧が老眼を生じさせているというわけではありません。これらは,加齢のさまざまな側面なのです。

 

したがって,研究によって2つの要因が関係していることが示されたときにはいつも,第三の要因のせいで観察された関係が生じているのではないかと問うことが大切です。

 

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