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医療統計学:間隔尺度の扱い方
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間隔尺度の扱い方
間隔尺度は比尺度のような乗除演算はできませんが、分散分析は出来るのでしょうか?
たとえばAさんの体重は100kg、Bさんの体重は50kgだったとしましょう。
この場合、Aさんの体重はBさんの体重よりも2倍重いということができます。
同様に、時速120kmで走っている車のスピードは、時速40kmで走っている車のスピードよりも3倍速いということができます。
これに対し、摂氏20度の気温は摂氏10度の気温よりも2倍暖かいということにはなりません。
これはいったいなぜなのでしょうか。
それは、人の体重や車の時速は比尺度で測定されるのに対し、気温は間隔尺度で測定されるからです。
比尺度では原点0は無の状態(量の無い状態)を示すのに対し、間隔尺度では原点0は任意に定められており、必ずしも無の状態を示しているわけではないのです。
つまり、体重0kgということは重さがないことを意味しており、同様に車の時速が0kgということは、速度がない(つまり止まっている)ことを意味しています。
これに対し、温度計の目盛りの摂氏0度は温度がない状態を示しているわけではありません。
その証拠に、寒冷地では気温がマイナス(零下)になることも珍しくありません。
つまり、温度計が摂氏0度の目盛りを指していても、それは温度がないことを示しているわけではなく、絶対零度(マイナス273度)から数えれば273度の温度があることを意味しているのです。
同様に、摂氏20度と摂氏10度は、絶対零度から数えれば、それぞれ293度と283度の温度があることになります。
この説明で、なぜ摂氏20度(293度)が摂氏10度(283度)の2倍暖かいとはいえないかは明らかでしょう。
間隔尺度でも分散分析を行うことは可能
心理測定で測定の対象となる、知能、性格、学習量、緊張度などの心理量を比尺度で測定できることはほとんどありません。
それは、心理現象の無の状態を定めることがきわめて困難だからです。
たとえば、記憶の実験で、たとえ再生数が0であったとしても、記憶量も0であるという保証はありません。
したがって、摂氏20度は摂氏10度よりも2倍暖かいとはいえないのと同様に、20項目再生した被験者の記憶量は10項目再生した被験者の記憶量の2倍であるとはいえないのです。
しかし、そのような間隔尺度の測定値に対しても、分散分析を行うことは可能です。なぜなら、間隔尺度の測定値に対して乗除の演算ができないというのは、あくまで測定値同士(同じ単位の数値同士)の乗除の演算ができないという意味であり、測定値の総和を測定値の数で割ったり、平均値からの偏差の2乗の平均を産出することは可能なのです。
分散分析では平均値や分散を算出する必要がありますが、決して測定値同士の乗除の演算を行うことはありません。
したがって、比尺度ではない間隔尺度のデータに分散分析を行っても、まったく問題はありません。
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