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医療統計学:多重比較の方法
医療統計学、医療経済学、数学のつぼをたとえ話でわかりやすく解説
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多重比較の方法
多重比較にはどのような方法を使えばよいでしょうか?
検定の目的によって、使う方法は異なります。
@分散分析と併用するかどうか
分散分析の補助手段として使おうとするならば、シェッフェの方法が最も相性がよいといえます。
その他の方法は、分散分析の結果と矛盾を生じることもあり、本質的には分散分析とは別個の方法と考えたほうがよいでしょう。
A検定の全体は何か
多重比較を行うには、一度に行うべき検定の全体は何かを明らかにする必要があります。
その検定全体によって、とるべき多重比較の方法がある程度決まります。
すべての平均のペアを検定の全体とするならば、テューキー・クレーマーの方法が標準的です。
いくつかの群のうち、1つが特別な意味をもち、他の平均はそれと異なるかどうかに関心があるとき、ダネットの方法、一般的に対比の検定に関心があれば(このような場合はあまり多いとはいえないと思います)、シェッフェの方法が標準的です。
検定の対象の全体が小さいほど、検定力は大きいといえるので、比較が特定の処理水準との比較だけに関心があれば、ダネットの方法を採用すべきでしょう。
また、対比の検定に関心があれば(このような場合はあまり多いとはいえないと思います)、シェッフェの方法を採用することになります。
以上まとめて、一般的にはテューキーの方法がすすめられます。
B正規分布の仮定が妥当か
正規分布の仮定が通常の多重比較の方法には必要です。
しかし、現実のデータには、正規分布と程遠い母集団の分布から発生したと思われる場合も多いようです。
正規分布に従わない場合、どのような分布に従っていても通用する多重比較の方法が必要になります。
そのような方法として、スティールの方法、スティール・ドゥワスの方法、シャーリー・ウィリアムズの方法があります。
C検定力を最大にしたいか
検定力を高めるために、検定間の包含関係を利用して、特定の順番に従って、検定する全体の数を減らしていく方法があります。
また、すべての平均のペアに関心がある場合は、テューキー・ウォルシュの方法が一般的です。
また、検定全体の第一種の誤りを一定以下に抑えるために、それぞれの有意水準を小さくする方法があります。
このような検定法として、ニューマン・コイルスの方法が有名でしたが、有意水準の調整をしていないので、全体の第一種の誤りを指定した有意水準以下に統制することができません。
p値(限界水準)を利用して、可能な帰無仮説の数を限定して、検定力を高めるようにボンフェロニの方法を改良したのが、ホルムの方法です。
さらに、帰無仮説間の論理的包含関係を利用したのは、シェイファーの方法です。