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医療統計学:ノンパラメトリック検定
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ノンパラメトリック検定
ノンパラメトリック検定はどういう場合に使わなければならないのでしょうか?
平均値の差の検定は通常t検定によって行われます。
これは測定値が正規分布をするという仮定で得られるt分布の性質を利用したものです。
t検定は自由度をパラメータとするt分布を用いているパラメトリックな検定です。
これに対して、ノンパラメトリック検定とは、母集団分布の仮定を直接用いない検定のことです。
2群のデータに対応がない場合のノンパラメトリック検定の一つは、フィッシャーの並べ替え検定です。
簡単な例として以下のような2群の測定値と平均値があるとします。
A群:4,5(平均4.5)
B群:6,7,2(平均5.0)
ここで帰無仮説は両群の母平均が等しいという仮定で、対立仮説は異なるという仮定です。
また、検定は片側検定であるとします。
5つの測定値を並べ替えてA群の平均が4.5以下になるのはA群が、
(2,4)、(2,5)、(2,6)、(2,7)、(4,5)
の5通りです。
並べ替えの組み合わせは、5C2=10通りです。
A群が現在の平均値以下になる確率は5/10=0.5と推定され、これがp値になります。
もちろん、この帰無仮説は棄却できません。
次に、同じデータを両群で一緒にして大きさの順に小さいほうから順位をつけて並べると、
A群:2,3(順位和は5)
B群:4,5,1(順位和は10)
になります。
A群の順位和が5以下になる組み合わせは(1,2)、(1,3)、(1,4)、(2,3)のみの4通りで確率は4/10=0.4となります。
このようにしてp値を求める方法をウィルコクソンの順位和検定とよびます。
順位和検定には別に、マン・ホイトニーの検定とよばれるものがありますが、これはウィルコクソンの順位和検定と同一の結果を与えます。
また、対応がある場合のノンパラメトリック検定としては、ウィルコクソンの符号付順位和検定があります。
これは、対応する測定値の差の絶対値を小さいほうから並べ、差が正であるもののみの順位和を統計量とするものです。
出来る限りパラメトリック検定を行うべきですが、どうしても正規分布が成り立たない場合、多峰分布や非対称の分布などではノンパラメトリック検定が適用できます。
また、順位のみの情報しかない場合にも適用できる利点があるといえます。
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