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医療統計学:多重比較
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多重比較
多重比較とはどのような方法ですか?
平均値の差があるかどうかを検定するt検定や分散分析の方法は一昔前と変わっていません。
古い統計学の教科書でも基本的に同じような説明がしてあります。
しかし、多重比較の方法はそうではありません。
古い教科書の記述で改めなくてはならない箇所がいくつかあるようです。
たとえば多重比較の方法では、事前の計画と事後の計画を分けるとか、テューキーの方法は、各水準の観測数が同じでなくてはいけないとか、あるいは、ニューマン・コイルスの方法は、検定力の高い優れた方法であるというような誤りが記載されています。
そもそも、なぜ多重比較が必要であるかについて考えてみましょう。
多重比較はなぜ必要か
検定を何回も行うことを考えてみます。
1回の検定の誤りは、第一種の誤りの確率(α)と第二種の誤りの確率(β)によって表されます。
通常の仮説検定では、第一種の誤りを重大と考えるので、第一種の誤りを統制する、すなわち、一定の値以下にすることを考えます。
この値を有意水準といい、0.05や0.01がよく用いられます。
さて、5回検定を行うとします。
いま、有意水準を0.05とした場合、5回の検定を通して、1回以上第一種の誤りを犯す確率は当然0.05より大きくなります。
その5回の検定が独立であり、第一種の誤りの確率が有意水準と等しいとすると、その確率は、
1−(1−0.05)の5乗=0.2262となります。
5回の検定を1つの分析の単位と考え、全体で第一種の誤りをコントロールしたいとすると、これは都合が悪いことです。
多重比較の方法とは、いくつかの検定を組にして、全体における第一種の誤りの確率を統制するための方法です。
いま、問題を整理するために、α個の母集団の平均が等しいかどうかという問題に限定します。この問題はふつう分散分析でとりあげられます。
分散分析は、α個の平均のうちどれかに差があるかどうかを検定するだけです。
どの平均とどの平均とに差があるかという問には答えてくれません。
多重比較はこの問に答えるための方法です。
また、この問に答えるために多重の検定を行うことが必要になり、多重検定の全体の誤りを問題にする必要が出てくるのです。
本来、多重比較と分散分析は、別個の検定です。
したがって、分散分析をやって、有意であれば多重比較というやり方はむしろ特殊なやり方であるといえます。
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