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医療統計学:t検定の前提条件2
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t検定の前提条件2
正規分布や分散の等質性などの前提条件が満たされていない場合はどのように対処するばよいか?
t検定や分散分析のようなパラメトリック検定(得られたデータにモデルの母集団分布を仮定した検定)では、
@母集団が正規分布かそれに近い分布に従うこと
A各条件の母分散が等質であること
B標本が母集団から無作為に抽出されていること
という3つの前提条件が満たされている必要があります。
さて、@とAの条件が満たされていない場合には、ウェルチの検定などの近似法を用いるか、または変数の変換によって分布の正規化や分散の等質化を図った後に通常のt検定や分散分析を適用するか、あるいは名義尺度または順序尺度によって測定されたデータとみなし、質的データ用の検定法を適用する、という3種類の対処法が考えられます。
どれを用いればよいかは、研究者が研究の目的やデータの性質に応じて判断すべき問題であり、どの対処法が最善であるかを一概に論じることはできません。
そのことよりはむしろ、こうした対処法など必要のない、歪みのない信頼性の高いデータを得ることの方が大切だといえるでしょう。
たとえば心理学の実験では、実験者の説明不足のために被験者が実験課題のやり方を誤解してしまい、そのために外れ値が混入することがしばしばあります。
また、実験課題が不適切なために(たとえば課題が難しすぎたり、逆にやさしすぎるために)、データの分布に歪みが生じることもあるでしょう。
したがって、予備調査や予備実験の結果にもとづいて最適な実験条件を設定するなど、細心の注意を払った上でデータを得ることが大切なのです。
なお2番目の変数変換について補足します。変数変換とは、正規分布に従わない分布を正規分布に近似させる方法です。
具体的には、データの分布の歪みの程度や形状に応じて、開平(平方根をとる)変換、対数変換、逆数変換、逆正弦変換、ボックス・コックス変換などの非線形変換が適用されます。
これらの変数変換には、分布の歪みを修正して正規分布に近づける働きがあるだけでなく、一般に各標本の分散を等質にする働きもあります。
このため、これらの非線形変換は、パラメトリック検定の@とAの条件が満たされていない場合の対処法にもなるのです。
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