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医療統計学:測定値と真の値
医療統計学、医療経済学、数学のつぼをたとえ話でわかりやすく解説
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測定値と真の値
ある量を精度よく測定するために、繰り返し測定を行いますが、繰り返し回数を増やすほど真の値に無限に近づけるという意味でしょうか?
標本平均の分散は、分母である繰り返し回数が多ければいくらでも小さくすることができます。
すなわちある変量をn回独立に測定したとき、その平均の分散はもとの変量の分散の1/nになります。
また、平均の期待値は変量の「真」の値に一致します。
したがって、測定が独立であり、かつ測定中に変数の「真」の値が変化しないならば、平均の値はnを大きくすると、限りなく「真」の値に位置するようになると考えられます。
この結果は、真の値を知ることはできないという立場からみれば、確かに奇妙です。
しかし、
@測定対象にまったく影響を与えないような測定方法はありえず、この結果は理想的な測定状態を仮定した結果である
A真の値付近に平均が集中するという言明は、得られた平均値が真の値とは離れていないことを必ずしも保証しない
上記2点を考慮すると、真の値を知ることはできないという立場に矛盾しないと考えられます。
すなわち、測定対象に影響を与えないような理想的な測定は存在せず、平均についてのここでの言明は、理想的な測定を仮定した場合の結果であり、現実に得られた平均はこのような理想的条件を満たしていないと考えられます。
また、Aは、分散がどのように小さくなっても、平均が「真」の値から大きく外れるチャンスはゼロにはならないことを意味しています。
したがって、理想的な測定が行えたと仮定しても、平均の分散についての解釈は「真」の値と直接関連づけるのではなく、単に平均の分散が小さくなることが期待されるという程度にとどめるのが正しい姿勢のように思われます。
すなわち伝統的なテスト理論でも無限個のデータによる平均を「真」の得点とよびますが、「真」の得点や「真」の値を本来測定によって求めたい値とするならば、平均値(期待値)と「真」の値が一致するとは限りません。
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