相乗平均
相乗平均
平均というと、多くの人が思い浮かべるのは算術平均でしょう。
2, 8という2つの値は、平均すると、10/2=5 となります。
ここで相乗平均、幾何平均ともいいますが、これは、値の積の冪根(数値がn個ならn乗根)をとることをいいます。
2, 8という2つの値の相乗平均は、2X8=16 の平方根で、4となります。
3, 4, 8という3つの値の相乗平均は以下図のように、4.6X4.6X4.6=96 の立方根で、4.6となります。
相乗平均または幾何平均は数学における平均の一種で、数値群の代表値です。多くの人が平均と聞いて思い浮かべる算術平均と似ていますが、それぞれの数値を足すのではなくかけ、その積の冪根(数値がn個ならn乗根)をとることで得られます。
3つの数 4 と 1 と 1/32 の幾何平均はそれらの積 (1/8) の立方根であり、 1/2 となります。
幾何平均は幾何学的に解説することもできます。2つの数 a と b の幾何平均は、辺の長さが a と b の長方形と同じ面積の正方形の1辺の長さを求めることと同じことです。
同様に a、b、c という3つの数の幾何平均を求めることは、それらを辺の長さとする直方体と同じ体積の正六面体の1辺の長さを求めることになります。
幾何平均は正の数のみしか扱えません。
互いにかけあわせることが多い値や指数関数的性質のある値に使うことが多く、例えば人口の成長に関するデータや財政投資の利率などに使われます。
幾何平均は「ピタゴラスの平均」と呼ばれる3つの古典的な平均の1つでもあります(他は算術平均と調和平均)。
異なる値を含む正の数値群の平均を求めたとき、調和平均が常に最も小さく算術平均が最も大きくなり、幾何平均はその中間となります。
成長率を表す場合、指数関数的成長(成長率が一定の場合)でもそうでなくても、算術平均より幾何平均の方が適しています。
ビジネス分野においてはこれを年平均成長率 (CAGR) と呼びます。ある期間の成長率の幾何平均は、その期間で一定の割合で成長して同じ成長を達成する場合の成長率です。
あるオレンジの木からある年に100個のオレンジを収穫でき、その後180個、210個、300個と毎年推移したとすると、各年ごとの成長率は順に 80%、16.7%、42.9%となります。
成長率の算術平均を求める(80% + 16.7% + 42.9% を3で割る)と、平均成長率は 46.5% となります。
しかし、初年に100個のオレンジがとれ、その後毎年 46.5% ずつ成長したとすると、最終年では314個となり、300にはならないのです。
つまり、成長率を単純に算術平均すると平均成長率を大きく見積もってしまうことになります。
その代わりとして幾何平均を使うことができます。成長率 80% は1.80倍を意味します。そこで 1.80、1.167、1.429 の幾何平均をとると 1.443 となり、平均成長率は 44.3% となります。初年を100として、その後毎年 44.3% ずつ成長したとすると、最終年には300となります。
社会科学での応用
社会的統計を計算する場合、幾何平均を使うことは少ないですが、国際連合の人間開発指数は2010年から幾何平均を使って求めます。
これは、その統計量の性質をよりよく反映するためとされています。
幾何平均は(比較されている)次元間の代用可能性のレベルを低くし、同時に出生時平均余命の1%の低下が人間開発指数に教育や収入の1%の低下と同じ影響を与えることを保証します。
従って達成度の比較の基礎としてはこちらの方が単純平均よりも次元を横断した本質的差異をよく表しているといえます。
アスペクト比
Kerns Powers がSMPTEの16:9規格を提案した際に示した同一面積の様々なアスペクト比。従来のテレビの 4:3/1.33 は赤、1.66 はオレンジ、16:9/1.77 は青、1.85 は黄色、パナビジョン/2.2 は藤色、CinemaScope/2.35 は紫。
幾何平均は映画やビデオの妥協的画面アスペクト比の策定に使われてきました。2つのアスペクト比があるときそれらの幾何平均をとれば、両者を同程度に歪めるか切り取るかした妥協的アスペクト比を提供します。
具体的には、面積が等しくアスペクト比が異なる領域を中心をそろえて辺が平行になるように重ねると、それらが重なった領域が両者の幾何平均のアスペクト比と等しくなります。また、両者を全部含む最小の長方形の領域も幾何平均と同じアスペクト比になります。
SMPTEは16:9というアスペクト比を選ぶにあたって、2.35:1(スコープ・サイズの映画)と4:3(従来のテレビ)の幾何平均をとって16:9 = 1.777... を選択しました。
これは Kerns Powers が経験的に到達したもので、彼は主なアスペクト比にあわせて面積の等しい長方形を作って比較しました。
それらの中心を合わせて重ねると、全体を包含する長方形のアスペクト比が 1.77:1 となることを発見し、同時に全ての長方形が重なっている領域も同じく 1.77:1 というアスペクト比になることを発見しました。
Powers が発見した値はまさしく 4:3 (1.33:1) と 2.35:1 の幾何平均であり、16:9 (1.78:1) に非常に近くなります。
Powers はその2つ以外のアスペクト比も考慮したが、幾何平均に関わっているのは最も極端な形状の2つのみです。
この幾何平均の技法を 16:9 と 4:3 に適用するとおおよそ 14:9 (1.555...) のアスペクト比が得られ、同様に妥協案的アスペクト比として使われています。
スペクトル平坦性
信号処理におけるスペクトル平坦性はそのスペクトルの平坦さの度合いを表すもので、スペクトル密度の幾何平均と算術平均の比で定義されています。
幾何学
直角三角形の斜辺を底辺としたときの高さは、直角な角から斜辺に描いた垂線で斜辺を分割したときのそれぞれの線分の幾何平均に等しくなります。
楕円において短半径は焦点から楕円の周上の点との距離の最大値と最小値の幾何平均です。一方、長半径は中心点といずれかの焦点との距離と中心点と準線との距離の幾何平均です。
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