医療統計学をわかりやすく解説

これらの問いに答えることで，知見の価値と，その知見のもつ臨床的意義についての，賢い判断が可能となります。

つまり，チェックリストは，論文を吟味するための枠組みを提供します。

それぞれの問いには，何がどのように吟味されるかを解説し敷衍した説明が付いています。

チェックリストは，ワンセットからなる「標準的な問い」から始まります。

「標準的な問い」は.用いられている研究方法によらず適用されます。

その後、異なる研究方法（臨床試験、サーベイ、コホート研究、ケースコントロール研究およびレビュー論文）ごとに対象とする個別のチェックリストが提示さ れます。

研究方法ごとのチェックリストは2つの部分に分けられます。

まず1つ目の部分である「本質的な問い」は，研究中の何らかの重要な欠陥を発見するためのふるいです。

したがって.このふるいを通過すれば，論文は仮承認されたことになります。

面白そうな新たな事実の書かれている論文を見つけたら，批判的吟味をこの段階で終えても結構です。

しかし，その論文が読者の臨床実務にとって重要であるなら、.より詳細な評価が必要です。

また、批判的吟味の経験があまりなければ、2つ目の部分である「具体的な問い」を一通り行なってみることが役立ちます。

2つ目の部分である「具体的な問い」によって，より詳細な点検ができます。

チェックリストは，科学論文の主要セクションに対応した構成となっています。一連の「標準的な問い」も含まれています。

「標準的な問い」により，研究デザインと研究実施における欠陥を発見し評価するプロセスの幅が広がります。

また，これらの問いは，研究および分析の全体的な質を評価し，研究結果がより広範な重要性をもつかどうかの評価にも役立ちます。

チェックリストは，論文をバランスよく評価するための作業を単純化します

完全なチェックリストは，公表された論文を評価するための，多岐にわたる項目を含んでいます。

しかし，チェックボックスをチェックすれば，簡単に論文の質が分かるというようなものではありません。

チェックリストの項目の多くは，論文の質に関する主観的評価を要求します。

とりわけ，研究の欠陥はそれが研究の知見に対してどんな潜在的な影響を与えうるかによって評価されなければなりません。