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医療統計学的論文の読み方:非独立性

 

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医療統計学的論文の読み方:非独立性

 


統計的検定では,すべての観測は独立であると仮定することが多いです。

 

たとえば、サーベイでは,サンプルの児童の身長を測定する際に、ある子どもの身長の測定は他の子どもの身長の測定に何の影響も与えないと仮定します。

 

すべての測定が独立であるという仮定は,2回以上測定を受ける子どもがいると侵されることになります。

 

特別な統計手法(繰り返し測定デザイン:repeated measures designs)はこの問題に対処できますが、一般的な統計的検定のほとんどは対処できません。

 

サンプル数を増やすために,同一人物に対して複数回測定を行なう研究もありますが,このような研究は,統計手法がデータの非独立性を考慮できるときには正しいわけです。

 

大半とまでは言えませんが,被験者について非常に多量のデータを収集する研究は多いです。

 

これらの研究は,ほんの少数の,特定の仮説を検証するために行なわれたものかもしれません。

 

しかし通常,データセットが一つあれば,さまざまな探求が可能です。

 

たとえば変数間の関係や,データをたとえば年齢ごと,性別ごと,病の重症度ごとに分割したときに見られる効果を知ることができます。

 

このように詳しぐ探求していくことは極めて真っ当であり,実際,データを完全に探求しないのはデータの無駄使いです。

 

しかし,偶然によって生じた観察を,あたかも検証を予定していた仮説であったかのように提示するのは間違いです。

 

たとえば,2つの抗高血圧薬の臨床試験において,研究者が,老人と比べて若者にも.あるいは女性と比ベて男性にも,同程度の大きさの効果が見られるかどうかをチェックするとしましょう。

 

これらのサブグループ間で見られる差を報告することは正当なことです。

 

しかし,分析を始める前に,差があるという仮説を特定していない限り. 報告の際に,この仮説を検証しようとして研究を始めたというふりをするのは誤りです。

 

データはどうにでも分割できるから、分割の仕方によっては、偶然の結果,一見, 興味深い効果を示すことがあります。

 

サブグループ分析は,その後の研究が検証対象としうる,興味深い観察をたくさん生み出すことができますが,まったく同じデータセットを用いて解を導くと同時に検証してはいけません。

 

適切な統計的検定は,論文の信頼性を高めます。

 

しかし, 用いた検定が精緻であればあるほど,知見がより信頼できるというわけではありません。

 

今日のソフトウェアを用いれば、分析者が,分析の利用方法について完全に理解していなくても,複雑な分析を実行することができます。

 

分析が複雑であるほど,分析するデータについての仮定が多くなる傾向があります。

 

また.複雑な分析ほど、分析中ミスを犯しやすいです。

 

よって,複雑な分析の結果のみを提示している論文は, 疑ってかかるべきです。

 

こういう提示方法だと.歪みや外れ値といったデータ中の問題を突き止めることが一層困難になります。

 

よって,最初により単純な分析の結果が提示されているほうがいいのです。

 

提示されていれば、この単純な分析の結果が.複雑な分析の結果と一致しているかどうかをチェックできます。

 

不一致があれば,文中で説明されなければなりません。

 

不一致が説明されていなければ,分析の適切さに疑いが生じます。

 

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