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医療統計学的論文の読み方:ケースコントロール研究の本質

 

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医療統計学的論文の読み方:ケースコントロール研究の本質

 


ケースコントロール研究のは,なぜあるタイプの人が特定の病気にかかるのかを調べます。

 

また、なぜ患者がそのように行動するのか?たとえば,なぜ子宮頸部の検診に参加しないのか?を調べることができます。

 

ケースコントロール研究は,そのような人を特徴づけている要因を探し出すことで病気の原因を解明したり患者の行動について説明したりできるようになることを期待して行なわれます。

 

ケースコントロール研究では,病気あるいはその他の興味深い点をもつ人たちと,相応の対照となる人たちの特徴を比較することで,特徴となる要因を探します。

 

その前提は、ケース群(治療群)とコントロール群(統制群)の間の違いが、ケースがケースたるゆえんを浮き彫りにするということです。

 

この前提が妥当であるかどうかが根底にあります。

 

ケースをどのように入手しているか・コントロール群は適切か

 

ケースとコントロールについてデータを同じ方法で収集しているかどうかが鍵となります。

 

ケースとコントロールの比較結果を解釈することに焦点を当てることは間違いありませんが,方法論的視点では、研究デザインが研究目的にとってふさわしいか、どこにバイアスがあるか、交絡はあるか データ浚渫がないか、といった観点が重要になります。

 

また、ケースをどのように入手しているかも重要で、 研究はケースの特徴を明確に述べていなければなりません。

 

明確に述べるということは、真のケースが必ず含まれる程度には広く、とはいっても,真のケースだけが含まれる程度には狭い範囲でのケースの定義を示すということです。

 

通常ケースの定義とは、病気の診断基準と(合併症の存在といった)すべての除外基準の記述です。

 

また,一般集団から得られたのか,あるいは何らかの専門病院から得られたのかといった、ケースの出所が示されるべきです。

 

症状の平均的な重症度は,ケースの出所によって異なることが多いです。

 

もう一点大事なのは,新たに診断された病気のケースなのか,あるいは長年の病気のケースなのかです。

 

長年病気にかかっている患者は,えり抜きの集団です。

 

えり抜きというのは,この集団には.治った人や死亡した人は含まれないからです。

 

選択的な欠損は2通りの仕方で,病気の重症度にバイアスをもたらしうるものです。

 

すなわち,治ったケースは軽症だったのかもしれませんし,他方,死亡したケースはより重症だったのかもしれません。

 

また,研究対象として含めるべきケースのうち,研究に含めることができなかった者がいる場合にもバイアスが生じます。

 

研究への参加を拒む患者は,研究に参加した患者とは異なっていることが多いです。

 

どんなケースが研究対象であるかは,研究結果の解釈にとって,もっとも重要です。

 

例外的なケースは、例外的な知見を導きます。

 

そのためケースの性質は、知見を一般化しうる程度にも影響します。

 

コントロール群は適切か

 

ケースコントロール研究においては,コントロール群を適切に選ぶことが課題となります。

 

通常.コントロール群は、ケース群と同じところ,たとえば,コミュニティ、診療所、専門病院などから入手します。

 

その目的は,研究対象の病気にかかっていないことを除いて,コントロール群が,ケース群と類似するようにすることにあります。

 

ケース群がどこで治療を受けるのかを決定する要因は数多くありますので,ケース群とコントロール群が,両方とも同じ要因に影響を受けるのが最もよいのです。

 

コントロール群は、年齢,性別,社会階級,居住地域といった要因について,ケース群と類似するように.選択されることが多いです。

 

ケース群とコントロール群の比較可能性にこだわるのは,ケースコントロール研究の分析においては,ケース群とコントロール群を比較して,病因についてのエビデンスを得るからです。

 

すなわち,ケース群とコントロール群の入手に影響を与える要因が異なるために,ケース群とコントロ一ル群の違いが生じている場合には,入手に影響を与えているこれらの要因を,病気のリスク要因であると誤って結論づけてしまう可能性があるのです。

 

ケースとコントロールについてデータを同じ方法で収集しているか

 

ケース群とコントロール群を入手したら,両群に対して,潜在的リスク要因への,過去の曝露について尋ねなければなりません。

 

曝露に関する情報は,面接法,郵送法,カルテからの入手などの手法によって得られますが,どの手法を用いるにせよ,両群について,同一の手法で収集すべきです。

 

しかし同一の手法を用いたとしても,両群について情報収集のあり方が同じになるとは限りません。

 

というのは, データを収集する者がどちらがケース群でどちらがコントロール群であるかを知っていたら,面接法やカルテからの入手は影響を受けるからです。

 

よって,可能な限りケース群かコントロール群かが分からないよう,盲検法を用いるべきです。

 

もう一つ問題なのは想起バイアス(recall bias)です。

 

重症の患者ほど,自分の過去を仔細に振り返って、病気の理由を探そうとしがちです。

 

そのため重症患者は,コントロール群が覚えていないようなできごとを報告する可能性が高いのです。

 

ケースコントロール研究には,バイアスのかかった情報収集という問題がつきまとっています。

 

データ収集の手法を細かく注意深く吟味しケース群とコ ントロール群について同一の手法が用いられているかどうかを判断する必要があります。

 

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