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医療統計学的論文の読み方:ケースコントロール研究の目的

 

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医療統計学的論文の読み方:ケースコントロール研究の目的

 


ケースコントロール研究は強力な研究方法ですが限界もあります。

 

ケースコントロール研究は,ケース群が病気あるいはそれ以外の興味深い点を発現したあとで、後ろ向きにデータを収集します。

 

そのため,新しい治療の効果を評価するために用いることはできません。

 

ケースコントロール研究は,ある特定の要因が病気の発現リスクと関係しているかどうかといった因果関係を探求するために用いられることもよくあります。

 

しかし,ケースコントロール研究にはバイアスがつきものであるため,因果関係についての決定的なエビデンスが得られることはまずありません。

 

最後に,たいていのケースは極めて選択的に選ばれていますので,ある特徴がどのくらい広く生じているかについて、より一般的な言明を行なうために,ケースコントロール研究を用いることはできません。

 

より一般的な言明を行なうにはサーベイが必要です。

 

どこにバイアスがあるか

 

ケースコントロール研究は,バイアスの影響を受けやすいことで知られています。

 

本質的な問いは,ケース群とコントロール群の入手の仕方やデータの収集手法によってバイアスが生じるという考えに基づいています。

 

これらのバイアスには微妙に異なるたくさんの形があります。

 

その一つの形が,監督バイアス(surveillance bias)です。

 

薬を定期的に服用している人は,医者と定期的に接触している傾向があります。

 

したがって、無症候性や軽症の病気の診断を受けやすいのです。

 

そのため,薬の服用と新しく患った軽症の病気には,何の関係もないにもかかわらず,一見,関係があるように見えてしまうことがあります。

 

もう一つの形態のバイアスは誤分類バイアス(mis- classification bias)です。

 

ケースのなかには関心の対象となっている病気にはかかっていないが、それに誤分類されやすいよく似た病気にかかっている者がいるかもしれません。

 

たとえば,子宮内膜増殖症が,明らかな悪性腫瘍に誤分類されることがあります。

 

その結果,増殖症と関連する要因(たとえば,外因性のエストロゲン)を誤ってがんと関連づけてしまうことが起きうるのです。

 

研究に参加しよう,また,情報を提供しようという,患者の意欲もバイアスをもたらしうるのです。

 

いずれの意欲につ いても,重症の患者は.地域のその他の集団と差があるこ とが多いのです。

 

要するに、ケースコントロール研究にはバイアスが生じる機会が多数あります。

 

難しいのは,バイアスの出所を特定し,そのバイアスが研究の知見にどれだけ大きな影響をもちうるかを推定することです。

 

病気とリスク要因の間の関係が見出されたときには,


@何か他の要因によってこの関係が生じている可能性はあるか


Aケースはどの点が特別なのか


B測定にはどのようなバイアスがかかっ ている可能性があるか


と問いかけながら,その関係を検討すべきです。

 

ケースコントロール研究にはつねに,バイアスがあることを想定して吟味しなければなりません。

 

交絡はあるか

 

2変数間で観察された関係が,第三の要因が作用した結果によるものであるときに、「交絡」が発生します。

 

たとえば,過剰に砂糖を消費すると,虫歯が増加するでしょう。

 

また,過剰な砂糖の摂取は成人期に糖尿病が発現するリス クも高めるでしょう。

 

したがって,砂糖が大好きな人とそうでない人がいるので、虫歯と糖尿病の間には見た目のうえでは関係が生じます。

 

ケースコントロール研究は,病気がなぜ特定の人たちに生じるのかということを調べるために用いられることが多いです。

 

そのため,病気が何らかの要因と関係していることを示すときには、病気とその要因の両方に関係しているかもしれない第三の要因につねに注意すべきです。

 

第三の要因が,病気とその要因の間の観察された関係の背後にないか,第三の要因とは何だろうかと推測することは容易ではないが,この問題は.討論セクションのどこかで取り上げなければなりません。

 

交絡要因が特定されたなら、分析では,交絡要因を考慮に入れなければならず,そのための標準的な統計手法もあります。

 

統計手法が正しく用いられているかどうかを判断することは難しいが、少なくとも用いられていなければなりません。

 

データ浚渫がないか

 

ケースコントロール研究は探索的な研究であることが多く,何が網にかかるかを知るために大きな網を役げ,なぜケース群がコントロール群と異なっているのか(すなわち.ケース群はどこが特別か)を問い,多くの異なる仮説 を同時に検証する。

 

データ収集においては,研究者の想像 力と資源が許す限りさまざまな項13についてデ一夕を収集する。

 

次いで,分析においては,変数を徹底的に探索し, 興味深い知見はないかと探す。

 

しかし.このようなやり方には,多m有意性検?という大きな危険がある。計筧され た/>値は,もはや額而通りに解釈できないし.擬似的な 統計的有意性が生じることを覚悟すべきである。

 

それゆえ, 読者は,多M検定がなされていないかどうかについて論文を注意深く吟味し,もしなされていれば知見を一屈注意深 く解釈すべきである。

 

ケース?コントロール研究の吟味のための完全なリスト

 

本質的な問い

 

ケースをどのように入手しているか コントロール群は適切か

 

ケースとコントロールについて,デ一夕を同じ方法で収 集しているか

 

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