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医療統計学的論文の読み方:曝露/介入は正確に測定されているか

 

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医療統計学的論文の読み方:曝露/介入は正確に測定されているか

 


コホート研究が,何らかの医療的介入あるいは有害な化学物質への曝露の結果を研究する際には,その曝露/介入の性質をきちんと記述すべきです。

 

曝露の程度は客観的に測定されていることが望ましいといえます。

 

たとえば.医療用X線への曝露量は,各患者が受けたX線のタイプと回数を.症例記録を用いて調べることで得ることができます。

 

この方法で,統制群が曝露されていないことを確かめることもできます。

 

曝露を数量化することがより難しいこともあります。

 

たとえば工業プラントからの大気汚染といった環境公害への曝露です。

 

そのプラントの近くに住んでいることをもって曝露に代えることはできますが,一人ひとりは自宅にいる時間の長さが異なっています。

 

さらに,そのプラントから離れて住んでいることを理由として選ばれた統制群であっても、そのなかには,実はそのプラントで働いている人もいるかもしれません。

 

特に,慢性曝露に関心があり,個々人の曝露レベルが時間とともに変化しうる場合には,曝露を測定することは難しいです。

 

したがって,曝露/介入を記述する際に,つねに問うべき鍵となる二つの問いは「どれだけ正確に曝露が測定されたか」と「統制群のうち曝露された人がいるか」です。

 

適切なアウ卜カムの尺度が見落とされていないか

 

医学的介入の影響や有害な病因への曝露の影響は,さまざまな方法で測定することができます。

 

たとえば,大気汚染物質が喘息を引き起こしたり悪化させたりするおそれがある場合,曝露を受けた個人を追跡調査する方法はいくつかあります。

 

喘息による死亡は稀なできごとのため有用なアウトカムであるようには思われないですが、喘息による緊急入院は有用であるように思われます。

 

一般開業医であっても,たとえば,喘息の新規の診断や悪化を数え上げることで,アウトカムを測定できます。

 

抗喘息薬の注文や処方箋の換金といった間接的な尺度も使うことができます。

 

コミュニティ調査を実施し、息切れの症状や喘息の症状を調査することもできます。

 

これらの異なるアウトカム尺度は,頻度だけでなく,深刻さや妥当性においてもさまざまです。

 

発表論文は、特定のアウトカム尺度を選択した理由を説明すべきですが、どのようにしたらそのアウトカムを最もよく測定できていたのかを考えるのは読者です。

 

分析は時間の経過を考慮に入れているか

 

人を数年間追跡調査するコホート研究では、研究参加者の加齢を考慮に入れる必要があります。

 

ほとんどの病気は,年齢とともにその頻度が増すため,分析はこの傾向を考慮に入れるべきです。

 

また、結果に影響を与える可能性をもつ重要な要因を見出したら、これらの要因も分析に組み入れるべきです。

 

統計の専門家でない人にとっては,分析手法が真に適切であると確信することは難しいですが,見出された複雑さに対処しようという努力がなされているかどうかはチェックできるでしょう。

 

観察されたアウ卜カムに影響を与えたものはあるか

 

コホート研究の大きな限界は、研究者が研究の対象とするグループを選べないということです。

 

研究の対象は,病気にかかっているとか,有害な可能がある物質に曝露されてきたといった理由で選ばれます。

 

病気を進行させた人と、病気にかかっていない人とは,多くの点で異なっていると思われます。

 

同様に,有害な可能性がある物質に曝露された人とそうでない人は,異なっているでしょう。

 

このように,何らかの特性をもった人を選ぶ過程自体が,研究のアウトカムに影響を与える可能性があります。

 

したがって,アウトカムを検討して,どんな臨床的要因と行動的要因がアウトカムに影響を与えるのかを知る必要があります。

 

これらの要因には,喫煙,飲酒,ダイエット運動といった個人的行動面の要因もあれば,疾病の特性やその管理といった面の要因もあります。

 

これらの要因を特定したら,論文において,これらの要因が検討されているかどうか,そして(検討されているのなら)分析においてどのように考慮されているかを確認するために論文を吟味できます。

 

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