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統計学と医療経済学:価格非弾力性
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価格非弾力性
医療サービスでは、価格(診療報酬)が変わっても、基本的に需要は変化しません。
一般の商品・サービスであれば、各個人は、マーケットのすべての商品・サービスのなかから消費(需要)するものを選び、消費量(需要量)を決めます。
そのとき、価格を比較して選びます。
ある商品・サービスの価格が変化すれば(実質所得は一定)、普通、他の、ある商品・サービスの相対価格も変化し、価格が変化した商品・サービスとともに、他の、ある商品・サービスの需要量も変化します(代替効果)。
また、価格が変化すれば、所得が実質的に変化し、名目の所得が変化したのと同じことになり、価格が変化した商品・サービス、他の、ある商品・サービスの需要量はともに変化します(所得効果)。
ところが、医療サービスには「独立財」としての性質があり、他の、どの商品・サービスによっても代替・補完されません(代替効果がありません)。
選択の余地がないということです。
また、「所得効果」もありません。したがって、価格が変わっても、基本的に需要量は変化しません。
「需要の価格非弾力性」は、「受益者負担」(窓口での患者の自己負担)の拡大は医療サービスの需要量(医療費)にそれほど大きな影響を及ぼさないことを示唆しているといえましょう。
逆に、「受益者負担」の軽減、さらには、応能負担(所得に応じた患者の自己負担)または累進負担(所得が高くなればなるほど負担率が高くなる負担)を導入しても医療費にはあまり影響しないと思われます。
一方、社会保障の強化、一般的な低所得者対策(所得の再分配政策)としては効果があるでしょう。
医療費をだれが、どれだけ、どのように負担していくかは、国や国民が選択する所得再分配の課題です。
総じて、所得の再分配政策は医療費にはあまり影響しないと考えられます。
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