統計学と医療経済学:不確実性

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統計学と医療経済学:不確実性

 

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不確実性

 

不確実性とは、ある事柄が起こるかどうかわからない、必ず起こるとしてもいつ起こるかわからないということです。

 

ただし、ある事柄は、ある確率で発生するとします。

 

マーケットに不確実性があるときは、個人は「期待効用」を最大にするよう行動します。

 

期待効用とは、マーケットに不確実性が存在し、それぞれの事柄がそれぞれの確率で発生しているときの、それぞれの効用の期待値(加重平均)です。

 

医療サービスは「不確実性」をともなう商品・サービスです。患者は「期待効用」を最大にするように行動します。

 

医療の「不確実性」には次のふたつがあります。

 

@需要の発生の不確実性

 

Aアウトカムの不確実性

 

<需要の発生の不確実性>

 

個人の嗜好はもとより、価格・所得に関係なしに、医療サービスの需要は自然発生し、その需要量は自然発生的に決められます。

 

具体的な医療サービス(治療法など)の選択と異なり、ここには選択の余地はありません。

 

そのため、病気になるかならないかの「不確実性」は、医療サービスの需要量の発生の「不確実性」と同じになります。

 

一方、医療サービスの需要量は、病気の発生による損失、所得の減少として表現できます。

 

そこで、病気になるかならないかの「不確実性」を考慮した所得に対する「期待効用」は次のようになります。アウトカムは一定とします。

 

期待効用=(ある病気になる確率)×(病気になったときの所得の効用)+(ある病気にならない確率)×(病気にならないときの所得の効用)

 

しかし、保険をかけることで、その「期待効用」を増やすことができます。

 

そのようなことができるのは、所得という「お金」に対する「期待効用」だからです。

 

<アウトカムの不確実性>

 

それぞれの治療のアウトカムやリスクは、ある確率で発生します。

 

それぞれの治療法のアウトカムやリスクにも「不確実性」があるということです。

 

ここで、たとえば、治療法Mの「期待効用」は、アウトカム・リスク(成功・失敗)の「不確実性」によって次のようになります。

 

期待効用=(成功する確率)×(成功したときの効用)+(失敗する確率)×(失敗したときの効用)

 

具体的な医療サービス、それぞれの治療法については選択の余地がありますので、患者にとっての効果(適合性)に応じて「期待効用」を最大にするように、治療法を選択し、受療量も決定すると考えられます。

 

そのような選択・決定にあたっては、患者の所得や治療法の費用(価格)も考慮します(完全補完の場合は別です)。

 

それぞれの治療法の需要量も所得の減少として表現できますが、アウトカム・リスクによって「期待効用」が比較的大きく変化するため、あまり意味がないかもしれません。

 

たとえば、「お金」があっても、死んでしまっては無意味かもしれません。一方、意味があるとすれば、保険で「期待効用」を増やすことができます。

 

また、医療サービスが公共サービスとしての面が強ければ強いほど、つまり受益者負担(患者の自己負担)が少なければ少ないほど、患者の所得や治療法の価格は、以上のような選択・決定の要素とはならないでしょう。

 

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