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統計学と医療経済学:マーケットの失敗
医療統計学、医療経済学、数学のつぼをたとえ話でわかりやすく解説
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マーケットの失敗
公共サービスとしての医療サービス
公共サービス(社会保障)としての医療サービスは、社会的に必要にもかかわらず、マーケットでは供給が不足するサービスですので、国が供給を補います。
価格はゼロか一部の受益者負担になります。
公共サービスとしての医療サービスについて、誰がどれだけ費用を負担するのかという問題があります。
そのとき、間違ってはいけないのは、公共サービスとしての医療サービスの最終目的は、患者の満足度(効用)を最大化することではなく、それを手段として社会不安を払拭することです。
それが、社会保障の目的といってよいでしょう。
したがって、公共サービスとしての医療サービスによって最終的な便益を受けるのは、患者本人ではなく、むしろ社会の他の比較的裕福な人々です。
その場合、受益者負担を広く考えるならば、受益者は患者本人ではなく、社会の他の比較的裕福な人々です。
そう考えていくと、公共サービスの費用負担についても、所得分配ではなく、資源の最適配分の観点から、セカンドベストをめざすことができるでしょう。
もっとも、所得再分配政策の観点から、いわゆる格差社会の是正などのために、利用する社会保障のスキームのひとつとして、窓口での患者の自己負担や公的医療保険の保険料負担を利用することも考えられます。
費用逓減産業としての病院
費用逓減産業の企業としての性格をもつ大規模病院によって提供される医療サービスは、社会的には必要なものです。
にもかかわらず、マーケットでは供給が不足するサービスですので、国が介入して、供給されるようにします。
日本では、価格(診療報酬)は、需要量に対して供給量が維持されるよう、病院の黒字が続き、経営が成り立つ水準に国によって決められます。
また、公企業による供給として、自治体や国などが、病院を開設したり、出資したりしています。
いずれも、いわば、価格の補填です。
地域における特定の中核病院への機能の集中化など、政策的に独占状態をつくることも対策のひとつになるかもしれません。
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